2026年09月26日
ベトナム介護小話 「Dạ〜だけでは終われない」
介護科では、連絡事項や毎日の報告、指示などをZaloで共有しています。
日本でいうLINEのようなものです。
グループには十数名が参加していて、Dr、PT、看護師など、いろいろな職種が入っています。
私も、みんなに共有したほうがいいと思ったことは発信します。
以前、私がある内容を発信した直後、
「なんで送信したんだ!今すぐ消して!」「消せ」「消せ」「消せ」
と、個別に電話がかかってきたことがありました。
別にその看護師個人を指摘した内容ではありません。
でも、その人にとっては都合の悪い内容だったようで、
「自分の評価が下がるだろ!」
と。
その他にも、
「あんなこと、いちいち発信しなくても......あいつは意地悪だな」
と、周りの発信内容が話題になることがあります。
ちなみに看護師からの毎日の報告は、ほとんど同じ文章のコピペです(笑)
そんなある日。
看護師長から、
「明日7:30、新規利用者を迎えに行きなさい」
とメッセージが入りました。
そして翌朝早く。
今度は、「今日7:30から申し送りです」
と師長からメッセージ。
......ん?
迎えも7:30。
申し送りも7:30。
そこで私は、
「今日は7:30に新規利用者のお迎えがあります。申し送りの時間をずらしてもらえますか?」
と発信しました。
朝7時に出勤すると、同じ時間に出勤してきた看護師が、
「YOKO〜!キャハッキャハ〜!」
と、なぜか楽しそう。
「何よ〜?」
と聞くと、
「師長が言ったことは、みんな"Dạ〜、Dạ〜(はい、はい)"って何でも答えるんだよ〜。でもYOKOは、違うことは違うって言う〜!いいね〜!キャハハ!」
「あの時も、この時も〜!」
と、過去のことまで出してきました。
いやいや。
あなたもこの前の申し送りで、師長とバチバチ言い合ってたでしょ(笑)
すると、「うん!だから同じだな〜って、楽しくなってるんだよ!」
と大笑い。
そんなことがあった翌日。
今度は私が、師長と勤務時間について議論することになりました。
時間にして約2時間。
長い......(笑)
こちらが何を説明しても、
「納得しない」
「私の言うことを聞いて」
話している途中で、師長の言うことがコロコロ変わる。
「あれ?さっきと言っていることが違うな」
「何が問題なのかコロコロ変わる」
と思って論点を戻そうとすると、また違う話になる。
戻す。
変わる。
戻す。
また変わる。
......終わらない(笑)
結局、その日は師長の意見をのみました。
そして、この2時間の議論にずっと付き合ってくれた通訳さん。
議論が終わったあと、通訳さんが少し落ち込んでいました。
「まだまだ頑張らないと。YOKOさんの意見や気持ちを全部伝えきれない」
と。
いやいやいや。2時間ですよ(笑)
日本とベトナムの間に立って、師長の話を私に伝え、私の話を師長に伝える。
ただ言葉を訳せばいいような会話ではありません。
「なぜそう思うのか」
「何が問題なのか」
「何を大切にしているのか」
そんな気持ちまで含めて伝えます。
疲れたでしょう。「十分伝えてくれたよ。頭を休めてね。ありがとう」
と伝えました。
ベトナムでは、年齢や立場をとても大切にします。
師長は年上で、しかも看護師長。
そんな場面では、師長の考えになびいてしまっても不思議ではありません。
でも、通訳さんはそうしませんでした。
師長に対して私の言葉が強くなってしまう事もありましたが
冷静な表情で、そこにいてくれました。
これは簡単なことではないと思います。
自分の考えを混ぜずに、その人の言葉として届ける。
2時間の議論で、
師長とはなかなか分かり合えなかったけれど(笑)
でも、利用者の生活やスタッフの働き方に関わることであれば、
「なぜですか?」
「それだと、こうなりませんか?」
と伝えることも必要だと思っています。
師長に勝ちたいわけではありません。
一緒に考えたい。
もっと自分のスタッフを信頼しても良いのに、と思う事もあります
これからもっと増える利用者に対応できるように一緒に考えたい
だから、ぶつかる。
だから、話す。
時には、相手の意見はのみます。
でも「Dạ〜」だけでは終わらせません(笑)
意見が違うからこそ話す。
そして、その間には、
お互いの言葉を届けようとしてくれる人もいます。
ベトナムで介護をつくっていくための大切な時間なんですよね。
......とは思いましたが
師長、やっぱり2時間は長い(笑)
そして通訳さん。
本当にありがとう。
